「何をどう言ったらいいのかわからない…」と自分の考えを上手く伝えられずにいることにフラストレーションを感じているあなたへ。
スムーズに自分の考えを述べることができる人もいれば、自分の意見を表現するのに苦労してストレスを感じる人もいます。
自己表現が難しいと、ストレスがたまりがちで、人間関係でもいじめ等の対象になりやすい傾向があります。
自分が欲しいものをはっきりと要求できない、やりたいことを主張できないため、周りの反応を気にしてしまったり、他人に順応する傾向が強まります。
自分の考えを表現するのが苦手な人は、主に二つのタイプに分かれます。
- 思っていることを言葉にすること自体が苦手な場合
- 持っている意見を他人に伝えるのが苦手な場合
どちらの場合も、結局のところ自己表現に苦手意識があると言えます。
この記事では、自分の考えを表現することの難しさの原因とその克服方法、自己表現に苦手意識を持つ人への接し方について説明します。
自分の意見が言えない自己表現が難しい理由
自分の考えを述べるのが難しい理由は人それぞれで、育った環境や個人の性格などが大きく関わっています。
以下に挙げる理由のうち、1つに該当する場合もあれば、複数に該当する場合もあります。
まだ自我が成熟していない子どもたち
子どもや小中学生は成長過程にあり、「これが自分だ」と自覚できる自我がまだ発展途上にあるため、意見を持つ基盤がまだ確立していません。その結果、自分の考えを表現することに苦手意識を持ちがちで、寂しい、辛い、不安などの感情を言葉にするのも難しいです。
子どもは自分の意見を述べることには抵抗があるものの、喜びや楽しみといったポジティブな感情の表現には大人よりも直接的です。感情表現に乏しい場合、他の理由が影響している可能性があります。
厳格な親によるしつけの影響
子供の躾(しつけ)は親の重要な責務ですが、子供が活発に行動したり感情を表したりすることを、場所や状況を問わず厳しく叱ることで、子供はしばしば
「自分を表現しないことが愛される方法だ」
と無意識のうちに学んでしまいます。結果として、自己の意見を控えめにするだけでなく、表情に乏しく、思考が読み取りにくい性格に育つことがあります。
厳しいしつけを受けた家庭で育った人々は、自分の意見を自然と抑えがちになります。
幼い頃は、はしゃぐことやわがままを言うことがある程度許されますが、頻繁に「静かにしなさい」「黙って従いなさい」と叱責されると、感情や意見を表現すること自体が否定されるものと認識されてしまいます。
このような環境で育ったために、自らの意見を口に出すことに対して無意識に抵抗感を抱き、積極的に発言することが難しいとされています。
親からの反論が常だった影響
幼少期に親が子供の意見を受け入れず、子供が何を言っても反論されるような関係にあった場合、子供は徐々に自分の意見を表珀することを避けるようになります。
この状況下で、子供は親に認められ、愛されるために無意識に自己改善を試み、自分はもっと完璧でなければならない(常に良い子でいなければならない)という信念が深く根付くことがあります。
このような信念があると、自分の望むことや感じているネガティブな感情を表現することが難しくなり、感情を抑え込むことが多くなります。この抑圧された感情は、最終的に爆発し、人間関係に悪影響を及ぼす原因になりがちです。
この問題に対処するためには、まず自分が持つ「完璧でなければならない」「いつも良い子でいなければならない」という基本的な価値観に気づくことが重要です。気づいた上で、この価値観を少し柔軟にすることが効果的です。(例えば、「良い人でいることが望ましい」と考えるなど)
また、同じように意見が受け入れられない環境での成長もそうです。
他人に嫌われることへの恐れる方もこのタイプが理由です。
他人に嫌われることを極度に恐れるのは、特に優しい人々に見られる心理です。「自分の意見を言ったら相手を不快にさせてしまうかもしれない」と考え、結果として相手の意見を尊重し、自己の意見を後回しにすることが多くなります。
このような性格の人は、他人からの要求を断りにくい、または指摘や注意をすることに躊躇する傾向があります。それは、相手を不快にさせたくないという思いが強いためです。
批判されたり、余計な仕事を押し付けられたりしても、反論することができずに内心で悩み、精神的な負担を感じやすいです。
対応策としては、
自分自身の感じること、考えることを他人の意見より優先させる 日々の小さな選択(飲み物や食事の選択など)を自分で決定する 興味ややる気を感じることを積極的に行う
これらが効果的です。このようにすることで、自己の存在が際立ちます。
たとえ小さな選択でも、自ら積極的に行うことで「自分が自分の人生を操っている」という実感を強くすることができます。
シーナ・アイエンガー(学者)の言葉にも、「自分で選択をすることが、自己の主体性を感じさせる」という趣旨が述べられています。
特にこのような性格の人は、TAエゴグラム心理テストで、AC(順応性のある子供の部分)が高い傾向にあると言われています。
責任逃れを望む場合
自身で責任を負うのを避けたいがために、意見を述べなかったり、他人に決断を委ねたがることがあります。
他人が決断を下せば、失敗した場合にその責任を他者に帰すことが可能ですが、自分で選択した場合はその結果に対して自己が直接責任を持つことになります。
しかし、自分で意見を出し、判断を下して失敗しても、その経験は貴重な学びに変わります。
他人に頼るより自分で決めるほうが、精神的にも安定します。
発言するということは、その発言に対する責任を負うことになります。責任を負うことに対して強い抵抗感を持つ人は、自分の意見を表明することが困難です。
たとえば、職場で自分の提案が採用され、それが原因でプロジェクトに問題が生じた場合、自分がその責任を負うリスクを恐れます。他人の提案が採用されれば、その結果に対する責任もその人が負うことになり、自身は責任から逃れることができます。
このような自己保護の意識が強い人は、自分の意見を控えがちになります。自己防衛の意識が強く作用している可能性があります。
自分に意見が浮かばない時の対応策
意見を持てない時、友人や職場での会話が緊張やストレスの原因になることがあります。 ここで、そのような状況に対処するための方法を5つお伝えします。
知らない、考えが浮かばないと正直に言う
意見が思い浮かばない時は、「知らない、今は何も思い浮かばない」と正直に表現することも良い方法です。
自分を良く見せようとする気持ちが強いと、その分緊張も増します。自分の本当の姿を素直に見せることができれば、それは一歩前進だと言えます。
経験や活動について話す
自分の意見や考えを表現するのが難しい時でも、自身が経験したことや実際に行った活動についてなら話しやすいことが多いです。
話している過程で、自分の考えが自然と明確になることもあります。そのため、話しにくいトピックに無理に挑戦する必要はなく、自分が話しやすい内容を選んで大丈夫です。
経験や行動を共有する(日記やSNSで)
直接的な意見や考えを表現するのが難しい場合でも、自分が経験したことや行った行動について話すのは比較的容易です。
話をする過程で、徐々に自分の思考が明確になることもあります。ですから、難しい話題に挑むよりも、自分が話しやすい範囲での会話であれば問題ありません。
趣味や楽しみを探求する
趣味がマンガであれ、ゲームであれ、自分が楽しめることなら何でも大丈夫です。
その中で特に気に入っている点や、好きなキャラクターについて考えてみることで、自己の個性や好みが明確になります。
カウンセリングの活用
言葉で自分の感情や考えを表現するのが難しい時があります。
そのような場合、カウンセリングを利用することも一つの選択肢になり得ます。特に、箱庭療法や絵画療法などのクリエイティブな手法を取り入れることができる専門家を探すと良いでしょう。
これらの方法では、物や絵を媒介にして自己の内面を探究することが可能で、心理学的にもその有効性が認められています。これにより、自己の深層を理解し、真の感情や思いが明確になり、意見を表現しやすくなることもあります。
他人の目や完璧を求める傾向に悩む人も、意見を出しにくいと感じることがあるため、該当する方は関連する情報を参考にしてみると良いでしょう。
「意見を上手く表現できない人」向けの解決策
自分の考えを言葉にするのが難しいと感じることで生じるストレスや困難から脱することは、多くの人が望むところです。
これから、自身の意見を持ちながらも、それを効果的に伝えることに苦手意識を持つ人のための解決方法をご紹介します。