選挙-理想と現実

選挙で当選するには、他の候補者よりも多くの票を獲得し、定数内の順位に入る必要があります。

そのため立候補予定者は、一票でも多くの票を集めるために様々な活動を行っていくことになります。

では、有権者は一体何を基準に候補者を選び、投票しているのでしょうか?

その答えはずばり「知名度」です。選挙の種類や構図によって違いはありますが、どんな選挙であれ有権者からすれば「その候補者を知っているか、知らないか」というのがまず大きな基準であり、政策は二の次です。結局は知名度こそが、候補者の得票を大きく左右する要素なのです。国政選挙は政党を選ぶ選挙ですので。個人の知名度よりも政党の支持率が大きく得票に影響しますが、政党支持率の影響が少ない地方選挙では、まさに候補者個人の「知名度」が当落を大きく左右します。

「そんなことは聞き飽きた」と思う方もいらっしゃるでしょう。選挙は知名度というのは昔から言われてきたことで、常識とも言えます。ありきたりな答えだったでしょうか?ではなぜ、有権者は「知名度」で投票するのでしょうか?

この理由こそが、「選挙の現実」です。有権者が候補者の知名度で投票する一番の理由は、乱暴な言い方になりますが「誰が政治をやっても同じ」だと考えているからです。政治家が信頼されていないというよりも、多くの人はそもそも政治にそれほど不満がないのです。「日本は世界的に見ても安全で治安も良く。安くて美味しいものが食べられ、貧富の差もそれほど大きくなく、水道水も飲めるし。経済も安定しているし、便利で快適で住みよい国だ。」あなたもこうした感覚をある程度理解できるのではないでしょうか。もちろんコロナ禍による経済の落ち込みや、少子高齢化、所得格差、貧困の問題は山積しています。しかしながら、有権者の多くは、まだそれほど危機感を持っていないと感じます。投票率が低迷するのも、不満のない有権者が多いのが一因です。

市長選挙などで多いのが、現職市長が立候補した場合に「大きな失政もないし、いい人だから、もう一期やらせてあげればいい」という声を聞きます。大きな不満がないから「よほどひどくなければ誰が政治をやってもいい」という感覚を持つ人が多いのだと思います。そして「誰がやっても同じ」と考えている有権者にとっては、熱心にあいさつにきた候補者と、まったく会ったこともない候補者であれば、前者に投票する人が多くなってしまうのは当然のことでしょう。

世論調査では「何を基準に投票しますか?」という設問がよくありますが、回答の第一位は「政策」となっています。しかし。あなたにしても、周りのひとにしても、本当に立候補者や政党の政策を丁寧に読み比べて、政策を最優先に投票先を決めている人がいるでしょうか?実際に、投票が終わった後に出口調査で「なぜその候補者に投票したのですか?」という趣旨の質問への回答では、第一位が「人柄」に変わるという現象がみられます。本当にその候補者の人柄をよく知っている人は少数ですから、候補者の総合力とも考えられますが。知名度の要素も大きいと考えられます。こうした有権者の意識があるからこそ、選挙が知名度の争いになってしまうのです。

実際は、誰が政治をやるのかによって、その地域の未来や、住民の生活は大きく変わります。これまでも多くの自治体があります。本当にその地域を良くしたいという強い志と、能力のある方に政治家になってもらうのが一番いいのは明らかなのです。しかい、政治家になるためには、選挙に当選しなければなりません、

政策を軽視するわけではありませんが、当選するためには、知名度で投票する有権者が多いという「選挙の現実」を前提に、とにかく自分の名前と顔を一人でも多くの有権者に知っていただくという、地道で骨の折れる活動を継続していくことが基本になります。

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