気象情報では、降水量をミリメートル(mm)単位で伝えていますが、具体的に10mmや1mmの降水量がどの程度か理解しにくい方もいるでしょう。
この記事では、1mmの降水量が示す雨の量について詳細に説明します。
さらに、気象庁が使用する雨の強さの分類と、それがどのように感じられるかについても触れます。
これらの情報が、豪雨などの災害対策に役立つことを願っています。
降水量1mmが意味すること
降水量1mmが意味することは、降雨により地面に1mmの水深が形成されることです。
1平方メートル(m²)の面積に1mmの雨が1時間にわたって降る場合を想定すると、その水の総量は1m×1m×1mm、すなわち100cm×100cm×0.1cmで、これは1000立方センチメートル、つまり1リットル(L)に等しいです。
このことは、1時間に1mmの雨が降ると、1m²の範囲に1Lの水が降ることを意味します。
成人が傘を広げた時の面積が約1m²であることを考えると、1時間傘をさすと、その範囲に1Lの雨が降ることになります。
この量は比較的少なく、霧雨のように感じられ、子供や幼児にはレインコートやベビーカーのレインカバーが必要になる程度の雨量です。
降水量が3~5mmに増えると、道に水たまりができる程度の雨量となり、子供たちには長靴が必要になります。
気象庁による雨の強さの分類
気象庁は、雨の強さをわかりやすく伝えるために、降水量に基づいた雨の強さのカテゴリーを定めています。
テレビニュースなどで聞くこれらの分類を理解することで、雨がもたらす感覚や潜在的なリスクを把握しましょう。
・「やや強い雨」の意味=1時間に10mmから20mmの降水量
1時間で降水量が10mmから20mmの範囲にある場合、それを「やや強い雨」と表現します。
このレベルの雨は激しく降り、地面に水たまりが広がり、歩くと水しぶきで足が濡れるほどです。屋内では雨の音が大きく、会話が聞き取りにくくなることもあります。
このような雨が長時間続くと、河川の水位上昇や低地の洪水など、大雨に関連する災害に警戒が必要です。
・「強い雨」の意味=1時間に20mmから30mmの降水量
1時間に降る雨の量が20mm以上30mm未満である時、これを「強い雨」と称します。
このレベルの降雨は非常に激しく、傘を使用しても体が濡れてしまう程度です。運転中には、フロントガラスのワイパーを最速にしても視界が不明瞭になることがあります。
道路の冠水や小川、側溝、水路の氾濫の可能性があり、場合によっては小規模な土砂崩れのリスクも考えられます。
・「激しい雨」の意味=1時間に30mmから50mmの降水量
1時間に30mm以上50mm未満の雨が降ると、「非常に激しい雨」と表現されます。
このような雨は、まるでバケツの水を逆さにしたような状態で、道路が川のように流れることがあります。
運転中は、特に高速道路で水たまりによる水膜が車輪の間にでき、ハイドロプレーニング現象が起こる可能性があり、ブレーキが効きにくくなることがあります。
この程度の降雨量になると、土砂崩れなどの災害が発生するリスクが高まります。
ご自宅が土砂災害のリスクエリアに位置している場合は、早めの避難を考慮しましょう。土砂災害の危険エリアは、国土地理院のウェブサイトや自治体が提供するハザードマップで確認できますので、事前にチェックしておくことをお勧めします。
・「非常に激しい雨」=1時間に50mmから80mmの降水量
1時間に50mm以上80mm未満の雨が降る際、「非常に激しい雨」という用語で、その危険性を伝えます。
このレベルの雨は滝のように降り、大きな音を立てます。
傘を差していても全く効果がなく、屋外では水しぶきで周囲が白く見え、視界も悪くなります。運転する際には非常に危険です。
都市地域では排水設備が追いつかず、マンホールからの水溢れや地下施設への浸水のリスクも高まります。
・「猛烈な雨」=1時間に80mmを超える降水量
1時間に80mmを超える雨が降ると、「極端に強い雨」と呼ばれます。
このような雨は非常に強く、圧倒されるような感覚を伴い、大きな災害の発生リスクが伴います。
そのため、高度な警戒が必要です。屋外にいる際には、より安全な2階以上の建物に避難し、自己の安全を確保することが重要です。