梅雨を彩る日本の伝統的な花、紫陽花(あじさい)。
梅雨の時期に美しい花を咲かせるアジサイは、日本では昔から親しまれている花です。大きな花をつけ、青、紫、ピンク、赤、白といった多彩な色で目を楽しませてくれます。その上、育てやすさから、鉢植えや庭での栽培に適しています。
毎年、アジサイの季節を待ち遠しく思う方も少なくないでしょう。
アジサイは日本の気候に適しており、手入れが簡単なため、園芸初心者にも向いています。アジサイ栽培を始めたい方は、この機会に是非挑戦してみてください。
今回はアジサイ栽培初心者に向け、種類の選び方、基本的な育て方、手入れ方法、増やし方などを紹介します。
アジサイ(紫陽花)の概要:基本情報
アジサイは、アジサイ科(またはユキノシタ科とされることもある)アジサイ属に属する落葉低木の総称です。
学名「Hydrangea macrophylla」、英名「Hydrangea」で、ギリシャ語で「水」と「容器」を意味する言葉が名前の由来です。
原産地は広義には日本とされ、「紫陽花(アジサイ)」という和名は、”集まった藍色”を意味する「集真藍(あづさあい/あづさい)」が変化したものと言われています。また、色の変わりやすさから「七変化」「八仙花」などの別名もあります。
アジサイは高さが1~2メートルの低木で、鉢植えは4月ごろ、切り花は4~7月に市場に出回りますが、本来の花期は6~7月です。日本の本州から四国・九州にかけて自生する「ガクアジサイ」がヨーロッパに伝わり、品種改良された「西洋アジサイ」が日本に再導入されました。
現在では日本のガクアジサイ約10種、東アジアと北米の西洋アジサイ約40種が存在し、多様な花色や額咲き、手まり咲きなどの咲き方が特徴です。
長い花期と長寿性を持ち、その美しい枝ぶりから、世界中で園芸品種として人気があります。
紫陽花(アジサイ)の花と葉の特性
アジサイの花は、実際の「両性花」と視覚的に鮮やかな「装飾花」の2種類で成り立っています。
通常、我々がアジサイの花と認識するのは「装飾花」の部分で、この部分は萼(ガク)として機能します。この装飾花の中心に位置する「両性花」は雄しべと雌しべを持っており、実際の花の役割を果たしていますが、非常に小さいため目立ちにくいのが特徴です。
アジサイの花色に関しても、土壌のpH値によって変化します。アルカリ性の土壌では赤色に、酸性の土壌では青色に変わる性質があります。この特性を利用して、鉢植えのアジサイでは多彩な色を演出しています。
しかし、この色の変化は種類によって異なり、すべてのアジサイに適用されるわけではありません。
アジサイの花の咲き方には、「額咲き」と「手毬咲き」の2パターンがあります。
両性花が集まって周囲を装飾花が囲む額咲き、球形に咲く手毬咲き(内側に両性花があることも)がそれに該当します。
アジサイの葉は楕円形をしており、先が尖っています。多くの種類で葉には光沢が見られます。また、秋から冬にかけては葉を落とす性質があります。
アジサイの代表的な種類
アジサイといえば、丸くてボリュームのある手毬咲きタイプがよく知られています。このタイプのアジサイは、多くが「西洋アジサイ」と呼ばれる園芸品種です。西洋アジサイは、日本原産のアジサイが海外へ渡って品種改良されたものです。
日本の伝統的なアジサイ品種「ガクアジサイ」は、中心の両性花を取り囲むように装飾花が咲くのが特徴です。
また、「ヤマアジサイ」も日本で長く愛されている種類で、小さな花が魅力的です。
アジサイにはこれらの他にも様々な種類があり、色や形、大きさに幅広いバリエーションがあります。お気に入りのアジサイを見つけて、育てる楽しみを味わってみてはいかがでしょうか。
紫陽花(アジサイ)の種類とその選び方について
これから、アジサイの各種類の特徴と、どのような人に適しているかという選び方を解説していきます。
額咲きアジサイ(ガクアジサイ)
日本各地に自生する野生のアジサイで、現在は園芸品種としても広く栽培されています。この種はアジサイの原種とされ、小さな両性花を装飾花が取り囲む形状が特徴的です。額縁のような見た目からこの名前がつきました。
幕末期にシーボルトにより海外に紹介され、その後品種改良が進みました。西洋アジサイに比べて小さめですが、丈夫で育てやすく、初心者にも向いています。乾燥にも比較的強く、日当たりの良い場所でもよく育ちます。
アジサイ/ホンアジサイ(手毬咲き)
一般によく知られているアジサイの品種で、手毬のような形状で咲くことが特徴です。ガクアジサイの改良品種であり、元々の両性花がほとんどなくなり、主に装飾花のみで構成されています。他のアジサイ品種との区別をつけるために「ホンアジサイ」とも称されます。