知っておきたい寸志のマナー|渡し方・封筒・金額の相場まで解説
はじめに
お世話になった方や職場への感謝の気持ちとして贈る「寸志」。ささやかな心づけとはいえ、マナーを誤ると失礼になってしまうこともあります。この記事では、寸志を渡す際に気をつけるべき基本マナーを、封筒選びから渡し方まで丁寧に解説します。
寸志とは?|意味と使われ方
「寸志(すんし)」とは、「わずかばかりの心づけ」「ほんの気持ち程度の謝礼」という意味を持つ言葉です。ビジネスシーンでは、部下やアルバイトへの慰労、結婚式などで目下の人へ贈るケースが多く見られます。
※目上の人に対しては「御礼」「謝礼」など別の表現を用いるのが適切です。
寸志マナー①:封筒の選び方と書き方
▷ 封筒の種類
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白無地またはシンプルな水引き付きの祝儀袋を使用
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派手な金封は避ける(控えめな心づけが前提のため)
▷ 表書き
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「寸志」または「御礼」と記載(毛筆や筆ペンが望ましい)
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名前は書いても書かなくてもよいが、組織名・役職名だけ記す場合も多い
▷ 中袋の書き方
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中袋がある場合は、金額を「金○○圓」と旧字で記入
例:「金五千圓」
寸志マナー②:渡し方のポイント
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手渡しが基本
できるだけ直接会って渡し、「ほんの気持ちですが…」などの一言を添えると丁寧です。 -
渡すタイミングに注意
相手が忙しくないタイミングを見計らい、控えめに渡すのがマナーです。 -
目上の方へはNG
寸志は目下の人への謝礼として用いられるため、上司や取引先の社長などには「御礼」「謝礼」などの表現を使いましょう。
寸志マナー③:金額の目安と注意点
シーン | 相場金額 |
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アルバイトへのお礼 | 3,000~5,000円 |
部下への激励金 | 5,000~10,000円 |
結婚式のスタッフ(写真・司会等) | 5,000円前後 |
ゴルフのキャディー | 3,000円程度 |
※金額は地域や立場によって変動するため、社内慣習を確認しましょう。
よくあるNG例と対策
NG例 | 適切な対応 |
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派手な祝儀袋で贈る | 控えめな白封筒に変更 |
目上の人に「寸志」 | 「御礼」や「謝礼」に表現を変える |
渡す場面が公的すぎる | 非公式なタイミングを選ぶ(昼休憩など)
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寸志と心付けの違いとは?
「寸志」や「心付け」は、どちらも感謝や労いの気持ちを表すために用いられますが、その使い方や意味にははっきりとした違いがあります。
1. 寸志とは?
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意味:「ほんの気持ちばかりの謝礼」「控えめな金品による感謝」
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使う相手:目下の人(部下・後輩・アルバイトなど)
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使用場面:
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会社の行事で部下に謝礼を渡すとき
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送別会や慰労会などでお礼をする場面
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金額の相場:3,000円~10,000円程度(場面による)
▷ 注意点
目上の人には使わないのが基本。代わりに「御礼」「謝礼」などを用います。
2. 心付けとは?
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意味:「感謝・気遣いの気持ちをこめて渡す金品」
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使う相手:上下関係にかかわらず、一時的なサービス提供者(旅館の仲居さん・引っ越し業者・医療関係者など)
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使用場面:
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旅館やホテルで特別な対応をお願いする際
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結婚式のスタッフ(カメラマン・司会者など)への個別のお礼
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引越しや配達で丁寧な対応をしてくれた時
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▷ 注意点
公務員や医療機関など、心付けが「受け取り禁止」とされているケースもあるため、相手の立場を考慮する必要があります。
3. 違いの早見表
項目 | 寸志 | 心付け |
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意味 | 控えめな金銭での謝礼 | 気持ちを添えた金品・心遣い |
主な対象 | 目下の人 | 一時的なサービス提供者 |
使用場面 | 社内行事、送別会など | 旅館、結婚式、引っ越しなど |
金額相場 | 3,000~10,000円 | 1,000~5,000円(少額が基本) |
上下関係 | 目下にのみ使用 | 上下関係問わず |
4. 使い分けの実例
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社内の部下への慰労金:→「寸志」
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旅館で特別なお願いをしたいとき:→「心付け」
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結婚式のカメラマンやヘアメイクへのお礼:→「心付け」
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取引先に感謝を伝える正式な表現:→「御礼」「謝礼」が適切
まとめ|「心づけ」としての気持ちを大切に
寸志は金額や形式ではなく、「日頃の感謝を伝える」ことが本質です。だからこそ、細かなマナーに気を配ることで、相手に不快感を与えずに気持ちを届けられます。控えめながら誠意のこもった対応を心がけましょう。