帯状疱疹の基本情報【原因、症状、予防、治療法】

正体不明のじんましんが出てかゆい…。それ、帯状疱疹!忙しい人こそ速攻で受診すべき理由

  1. 【保存版】帯状疱疹の原因・症状・治療法を動画解説
  2. 帯状疱疹の発症年齢
  3. 帯状疱疹の症状
    1. 帯状疱疹:症状の特徴について
    2. 帯状疱疹が進行する過程
      1. 初期段階の症状
      2. 発疹の出現
      3. 水疱形成と回復への過程
    3. 帯状疱疹が現れる部位について
      1. 部位ごとの発症率
      2. 顔での帯状疱疹の場合
      3. 首での帯状疱疹の場合
      4. 腕での帯状疱疹の場合
      5. 汎発性帯状疱疹
  4. 帯状疱疹の合併症
    1. 帯状疱疹に伴う一般的な後遺症:帯状疱疹後神経痛(PHN)
      1. 帯状疱疹後神経痛の成因
      2. 帯状疱疹後神経痛(PHN)の兆候
      3. 帯状疱疹後神経痛のリスクが高い人
    2. PHN以外の合併症
  5. 帯状疱疹の原因
    1. 帯状疱疹の起因となるウイルスは水疱瘡と同一
      1. 水疱瘡の出現
      2. 伏在期
      3. 免疫力の減退
      4. 帯状疱疹の出現
    2. 帯状疱疹が発生しやすい方
    3. 帯状疱疹の発症率に関する年齢と性別の分析
      1. 免疫力が弱まった人々における帯状疱疹
      2. 水疱瘡を経験していない人と帯状疱疹の関係
    4. 帯状疱疹の再発について
      1. 帯状疱疹の再発理由
      2. 帯状疱疹の再発位置
      3. 帯状疱疹を経験した後の免疫について
    5. 帯状疱疹の感染性について
      1. 帯状疱疹の人から他人への感染メカニズム
      2. 帯状疱疹からの感染とその影響
      3. 子どもへの帯状疱疹の感染リスク
  6. 帯状疱疹の予防
    1. 帯状疱疹予防のためのワクチン接種について
    2. ワクチンに関する副反応の基礎知識
    3. 日常生活での注意事項
  7. 帯状疱疹の治療法
    1. 帯状疱疹の治療法は症状に応じて異なります
      1. 抗ウイルス薬を用いた帯状疱疹の治療方法
      2. 鎮痛剤による帯状疱疹の痛みの管理
      3. 外用薬(塗り薬)による帯状疱疹の治療
      4. 帯状疱疹後神経痛(PHN)の対処法
  8. 帯状疱疹 あるあるQ&A

帯状疱疹の発症年齢

主に60代が中心で、50代から70代の年齢層に多く見られる疾患ですが、過度の労働やストレスが原因で、若年層でも発症する例は少なくありません。

普通、人生で一度の発症が一般的であり、免疫力が落ちている人を除けば、繰り返し発症することは稀です。

帯状疱疹の症状

ここでは、帯状疱疹に見られる典型的な症状を解説します。 帯状疱疹がどのようにして始まり、最初にどんな兆候が見られるのか、また、発症後の一連の流れとそれが治癒に至るプロセス、そして一般的に影響を受ける部位についてご紹介します。

帯状疱疹:症状の特徴について

帯状疱疹は、体の片側に限定して現れる疼痛や掻痒感を伴う皮膚の発疹が特徴です。この疼痛を伴う発疹はすぐに小さな水疱へと進行し、やがてはそれらが増え、中には膿を含むものも出現します。

これらの水疱は後にかさぶたを形成し、皮膚の変化が回復すると同時に痛みも軽減します。

しかし、皮膚症状が改善した後でも、痛みが持続する場合があり、これを帯状疱疹後神経痛(PHN)と称する合併症が、一定の割合で帯状疱疹の治療後に報告されています。

帯状疱疹が進行する過程

初期段階の症状

帯状疱疹の最初の兆候は、体の一方の側、特定の神経経路に沿った皮膚の痛みや不快感、掻痒感が特徴です。この痛みは、神経の炎症が原因で起こります。症状は、しばしば皮膚の変化が見られる数日から1週間前に始まりますが、皮膚症状が出現すると同時にあるいはそれに続いて現れることもあります。痛みは「チクチクする」「ヒリヒリする」「ドクドクする」といった表現で語られ、感覚は人によって異なります。また、「燃えるような痛み」と形容されることもあります。皮膚の変化が見られる前後には、発熱やリンパ節の腫れが伴うことがあります。

発疹の出現

皮膚の痛みや不快感、掻痒感が生じた箇所に発疹が現れます。最初は小さな隆起や丘疹として表れます。一般には胸部、背中、腹部の上半身に多く見られ、顔や目周りに出ることもあります。

水疱形成と回復への過程

発疹は次第に小さな水疱へと進行し、始めは数ミリサイズのものが少数見られますが、徐々に数が増えます。新旧の水疱が混在し、帯状に配置されることから「帯状疱疹」と名付けられました。水疱は暗色の液体を含むことや、膿を持つこともあります。これらは約1週間で開裂し、その後かさぶた化して、皮膚の症状は約3週間で治まりますが、色素沈着や痕跡を残すこともあります。

帯状疱疹が現れる部位について

帯状疱疹は、主に体の片側、特定の神経経路に沿った形で帯状に出現することが特徴です。この症状はしばしば上半身で観察され、上腕から胸部・背部にかけての発生が約30%、腹部から背部にかけてが約20%を占めます。また、顔面に出ることもあり、特に目周りの発生は注意が必要です。

部位ごとの発症率

頭部から顔面にかけて 17.6%

首から上腕にかけて 14.5%

上腕から胸部・背中にかけて 31.2%

腹部から背中にかけて 19.6%

腰部から臀部、さらに下肢にかけて 17.2%

顔での帯状疱疹の場合

顔の頬や額などに帯状疱疹が出た際には、他の部位と同じく、皮膚の変化の前に痛みや掻痒感が先行します。頭皮や耳にも症状が見られることがあります。目の周囲に現れる場合は「眼部帯状疱疹」と称され、特別な注意が必要で、初期には結膜炎や角膜炎を引き起こす可能性もあります。

首での帯状疱疹の場合

首の周辺、特に頭部近くに帯状疱疹が発生することもあります。この場合、肩から首にかけての強烈な痛みや、腕を持ち上げることが困難になる運動障害が出ることがあります。

腕での帯状疱疹の場合

上肢に帯状疱疹が現れることもあり、この症状は片側の肩、腕、手に沿って生じる痛みや掻痒感の後に、帯状の発疹や水疱が現れます。

背中での帯状疱疹の場合 背中に帯状疱疹が出ることもあり、この場合は自分で皮膚の変化を確認しにくいため、注意が必要です。

汎発性帯状疱疹

通常、帯状疱疹は体の一方にのみ発生しますが、稀に両側に発症することがあります。この場合、帯状の皮膚変化の他に、別の場所にも水疱などの発疹が見られることがあり、これを汎発性帯状疱疹と称します。

帯状疱疹の合併症

帯状疱疹に伴う合併症の中で最も一般的な、帯状疱疹後神経痛(PHN)という症状に焦点を当て、その発生原因、特徴的な症状、発症しやすい人の特徴について解説します。さらに、他にも留意すべき後遺症や合併症に関しても触れます。

帯状疱疹に伴う一般的な後遺症:帯状疱疹後神経痛(PHN)

帯状疱疹において最も一般的に見られる後遺症は、帯状疱疹後神経痛(PHN)です。これは、皮膚の症状が改善した後も継続する痛みで、その性質は多岐にわたります。「焼けるような痛み」「締め付けられるような痛み」の持続的な感覚や、「鈍痛がズキズキする」ような疼痛、さらには軽い触れるだけで痛みを感じる「触覚過敏」と称される痛みがあります。この痛みは睡眠障害や日常活動に影響を及ぼすことがあります。

帯状疱疹後神経痛の成因

帯状疱疹の発症は、年齢の上昇、過労、ストレス等により免疫力が弱まると、潜伏していたウイルスが神経系近くで活動を再開し、症状が表れることによって起こります。

帯状疱疹に伴う痛みは、炎症が皮膚や神経に生じることで発生しますが、帯状疱疹後神経痛(PHN)は、皮疹が癒えた後にも神経の損傷により痛みが持続するとされています。

PHNで見られる触覚過敏やアロディニアは、普通は痛みを感じさせない軽い触れ合いでも痛みを引き起こす状態で、これは皮膚の痛覚を司る部位が過敏になるなどの変化によるものと推測されています。

帯状疱疹後神経痛(PHN)の兆候

帯状疱疹後神経痛の症状は個人差があり、「焼けつくような」「激しい鈍痛」「針で刺すような」「電撃が走るような」「鋭い裂け目のような」痛みが一般的です。

また、感覚異常を伴うこともあり、痛みを感じる部分の皮膚は通常、感覚が鈍くなることが多いです。

これらの症状は睡眠障害や日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

さらに、軽い触れ合いでも痛みを感じるアロディニアが現れる場合があり、「衣服の摩擦が痛む」「洗顔が困難になる」といった日常活動に支障をきたすこともあります。

帯状疱疹後神経痛のリスクが高い人

50歳を超える人々は、帯状疱疹に罹患した場合、帯状疱疹後神経痛(PHN)へと発展する可能性が高く、年齢が上がるにつれてその確率はさらに増加します。

特に高齢者は、PHNを発症しやすいとされています。

帯状疱疹の際に皮膚の変化が顕著であったり、激しい痛みがあったり、皮膚の症状が出る前に痛みが感じられるケース、また免疫系の機能が低下している疾患を抱えている人は、PHNになりやすいと言われています。

これらの状況では、感覚の異常が強く出やすく、触覚過敏による痛みも強いという特徴があります。

PHN以外の合併症

帯状疱疹後神経痛(PHN)以外にも、帯状疱疹が原因で特定の発症部位に応じた特有の合併症が発生することがあります。

特に、帯状疱疹が初期段階で鼻周辺に皮膚の変化を示した場合、しばしば目に関連する合併症が起こりやすくなります。これには角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎などが含まれ、これらの症状は視力の低下や、最悪の場合、失明へと進行するリスクがあります。

また、顔面神経に障害をもたらし、耳周辺に帯状疱疹が現れる「ラムゼイ・ハント症候群」という合併症もあり、これはめまい、耳鳴り、聴力低下などの症状を引き起こすことがあります。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹は、水疱瘡(水ぼうそう)を引き起こすのと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって発症する疾患です。水疱瘡が治癒した後でも、ウイルスは活動を休止した状態で体内に隠れています。その結果、一度水疱瘡を経験した人は、体内にウイルスが残っているため、将来的に帯状疱疹を発症するリスクがあります。

このセクションでは、帯状疱疹の発症メカニズムについて具体的に解説します。さらに、発症しやすい人の特徴、病気が再発する可能性、他人への感染の有無についても説明を加えます。

帯状疱疹の起因となるウイルスは水疱瘡と同一

帯状疱疹は、多くの人が幼少期に罹患する水疱瘡を引き起こす「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって生じます。水疱瘡の症状が消えた後でも、このウイルスは体内の神経系、特に脊椎近くで休眠状態を保ち続けます。年齢の増加、過労、ストレスといった要因で免疫力が落ちると、休眠していたウイルスが活性化し、帯状疱疹として顕在化します。

水疱瘡の出現

水疱瘡は「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって引き起こされる感染性の疾患で、このウイルスに初めて感染することで水疱瘡が発生します。

一般的に幼少期に罹患し、特徴的なかゆみを伴う水疱形成の発疹と発熱を経験し、大抵は1週間程度で自然に回復します。感染後、ウイルスは神経系内で休眠状態を維持し続け、人生の後の時期において、特に免疫力が落ちた際に再活性化することがあります。

このウイルスが再び活動を始めた際に現れるのが帯状疱疹で、水疱瘡とは異なる形での発症となります。

伏在期

症状が現れるまでの期間を伏在期と称します。初めて「水痘・帯状疱疹ウイルス」に感染した際は、大体2週間後に水疱瘡の症状が出始めます。しかし、帯状疱疹の場合は、水疱瘡の治癒後にも活動を停止した状態で隠れていたウイルスが、年齢の増加や過労、ストレスなどで免疫力が衰えた際に再活性化し、症状を引き起こします。帯状疱疹が発症するまでの期間は、人によって異なるとされています。

免疫力の減退

水疱瘡は、主に幼少期に発生する感染症であり、その原因ウイルスは水疱瘡が治癒した後も、症状を引き起こさない状態で体内に隠れています。年齢の進行や過度の労働、ストレス等により免疫力が弱まると、この潜伏していたウイルスが活動を再開し、帯状疱疹として現れます。

帯状疱疹の出現

免疫力が衰えた際には、脊椎周辺の神経に無害な形で隠れていたウイルスが活性化し、帯状疱疹を引き起こします。このウイルスが神経系を経由して皮膚へと移動する過程で、通常は皮膚に変化が見られる前に痛みを感じることが多いです。

帯状疱疹が発生しやすい方

帯状疱疹の発生において、年齢は重要な要素であり、年を重ねるごとに罹患の可能性が高まります。これは、年齢と共に低下する免疫力が一因とされています。1987年から2016年にかけて兵庫県で実施された疫学的調査では、50歳から70歳の間で症例数が特に多くなっていることが明らかになっています。また、2009年から2015年に宮崎県で行われた疫学調査によると、50歳以上で帯状疱疹の発症率が高くなっており、特に50代と60代で女性の発症率が男性を上回っている結果が出ています。

帯状疱疹の発症率に関する年齢と性別の分析

以下のデータは、2009年から2015年にかけて宮崎県で実施された研究に基づく、帯状疱疹の性別および年齢別の発症率を示しています。この研究によると、帯状疱疹の発症率は50代から上昇し始めることが確認されています。

図 帯状疱疹の年代別発症率

帯状疱疹の年代別発症率のグラフ

免疫力が弱まった人々における帯状疱疹

年齢の増加、過労、ストレスなどが原因で免疫力が落ちた際に帯状疱疹が発生することがあります。加えて、骨髄や臓器の移植を受けた患者、白血病や悪性リンパ腫といった血液関連のがんを患っている人々、また全身性エリテマトーデス(SLE)を患っている人々では、帯状疱疹を発症する確率が通常よりも高くなります。

水疱瘡を経験していない人と帯状疱疹の関係

水疱瘡にかかった経験がない人は、帯状疱疹を発症することは基本的にありません。一方で、水疱瘡を経験した人は、病気が治癒した後も体内に「水痘・帯状疱疹ウイルス」が潜んでいる状態を維持し、将来的にこのウイルスが活性化することで帯状疱疹として現れる可能性があります。日本では、15歳以上の大部分の人々が水痘・帯状疱疹ウイルスに対する抗体を持っており、これは過去にウイルスに感染した証拠です。このため、広範囲にわたる人々において帯状疱疹が発症する可能性があるとされます。

帯状疱疹の再発について

帯状疱疹が一度発症した後に完全に免疫ができるわけではなく、およそ6%の人が再発することが報告されています。

帯状疱疹の再発理由

帯状疱疹を経験すると、「水痘・帯状疱疹ウイルス」に対する一定の免疫反応が生まれます。しかし、その後、年齢の上昇や過労、ストレスなどで免疫力が落ちた場合には、帯状疱疹が再び発生する可能性があります。発症後1年未満の再発は非常に稀です。また、膠原病、特に全身性エリテマトーデス(SLE)を患っている人では、帯状疱疹の再発がより起こりやすいとの研究結果があります。

帯状疱疹の再発位置

帯状疱疹が再び発生する際、最初に発症したのと同じ神経領域での再発は約30%の確率であり、対称的な反対側の神経領域で発症することが約20%、残りの50%はその他の異なる神経領域に発生します。

帯状疱疹を経験した後の免疫について

一度帯状疱疹に罹患した後、ある程度の免疫が形成されると考えられています。しかし、その後免疫力が再度衰えると、病気が再発する可能性があります。

帯状疱疹の感染性について

帯状疱疹は、体内で休眠していた水疱瘡ウイルスが再び活動を始めることにより発生するため、帯状疱疹自体が直接他人に伝染することはありません。

しかし、水疱瘡を経験していない人へのウイルスの伝播は可能です。したがって、帯状疱疹に罹患した際は、水疱瘡未感染の乳幼児や予防接種を受けていない子供との接触は避けるべきです。不安がある場合は、専門医に相談することをお勧めします。

帯状疱疹の人から他人への感染メカニズム

帯状疱疹患者の水疱に含まれる「水痘・帯状疱疹ウイルス」により、水疱瘡を経験していない人や水疱瘡のワクチン未接種の乳幼児への接触感染が発生することがあります(感染した場合、水疱瘡として発症し、帯状疱疹にはなりません)。

水疱がかさぶたになり完全に乾燥するまでは感染のリスクがあるため、水疱瘡を経験していない人やワクチン未接種の乳幼児との接触は避けるべきです。

帯状疱疹からの感染とその影響

帯状疱疹は、水疱瘡未経験者やワクチン未接種の乳幼児に接触により感染することがあり、その場合は水疱瘡として発症します。

この症状にはかゆみを伴う発疹と発熱が含まれ、水疱瘡を経験した人への感染は起こりません。

子どもへの帯状疱疹の感染リスク

水疱瘡の経験がない乳幼児やワクチン未接種の乳幼児は、帯状疱疹から水疱瘡を発症するリスクがあります。

乳幼児や水疱瘡に対する免疫がない母親から生まれた赤ちゃん、また妊婦にとっては、水疱瘡の重症化の可能性が高く、妊娠中の水疱瘡発症は先天性水痘症候群のリスクを高めるため、帯状疱疹患者は特にこれらの人々との接触を避けることが推奨されます。

帯状疱疹の予防

帯状疱疹予防のための対策とワクチン接種について解説します。

帯状疱疹が発生した際、抗ウイルス薬を用いた治療を施しても、帯状疱疹後神経痛(PHN)といった後遺症が生じる可能性があります。

このため、帯状疱疹を未然に防ぐ取り組みが重要です。

予防策としては、健康的な生活習慣の維持や適切な運動が推奨されるほか、50歳以上の人には予防ワクチンの接種が可能です。

帯状疱疹予防のためのワクチン接種について

50歳を超える人々には、帯状疱疹を予防するためのワクチン接種が推奨されます。

実際に、日本の成人の90%以上が帯状疱疹を引き起こすウイルスに対する「抗体」を持っているとされています。これは、多くの人が幼少期に経験する水疱瘡が、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされ、治癒後もウイルスが体内に無害な形で残り続けるためです。その結果、一度水疱瘡を経験した人は、そのウイルスに対する一定の免疫を有していますが、この免疫力は加齢により減少し、帯状疱疹の発症リスクが高まる傾向にあります。また、帯状疱疹を一度経験した人でも、免疫力の低下により病気が再発する可能性があります。

帯状疱疹予防のためのワクチン接種とは、免疫力を向上させることを目的としています。

帯状疱疹に対するワクチンには2種類存在し、特に50歳を超えると帯状疱疹の発生リスクが増加するため、予防接種は発症リスクを軽減する選択肢の一つです。

ただし、予防接種が帯状疱疹の発症を完全に防ぐわけではなく、接種に適さない人や特別な注意が必要な人もいるため、接種を検討する際は医師に相談することが重要です。

ワクチンに関する副反応の基礎知識

医薬品の効果に伴う「副作用」という用語をよく耳にしますが、ワクチンの場合、副作用ではなく「副反応」と表現します。

この副反応は、身体の自然な反応の一つとして発生します。

ワクチンをより安全に接種するため、予診表を丁寧に記入し、医師と接種前の健康状態をしっかりと共有することが大切です。

ワクチン接種後に発生する可能性がある副反応に関しては、事前に医師からの説明を受けることをお勧めします。

接種後に何らかの異常を感じた場合は、直ちに医師に連絡を取ってください。

重篤な副反応として、アナフィラキシーや迷走神経反射が稀に発生することがあるため、接種後は最低でも30分間は接種施設内で待機し、何かあった時に直ちに医師に相談できる状態を保つことが重要です。

日常生活での注意事項

免疫力の衰えは帯状疱疹の発生に密接に関連しています。

年齢の増加、過労、ストレスといった要因により免疫力が弱まると、体内に潜んでいる水痘・帯状疱疹ウイルスの活性化が促されます。

健康であっても年齢に伴う免疫力の低下は避けられないため、日々、充分な休息を取り、ストレスや過度の疲労を避ける規則正しい生活を心掛けることが重要です。

特に、偏った食生活、不足する運動量、睡眠不足などは免疫力の低下に繋がります。栄養バランスの取れた食事を心掛け、過度な飲食は控えましょう。

運動では、散歩やウォーキングといった適度な活動が推奨されます。また、適量の日光浴は免疫力向上に役立ちます。しかし、過度な運動や長時間のトレーニングは免疫力の低下を招くため注意が必要です。

質の良い睡眠は、身体の健康維持に不可欠です。規則正しい生活リズムと適度な運動は良質な睡眠を促進します。

ストレス解消法として、音楽鑑賞、映画やテレビ視聴、瞑想や入浴など、自分に合ったリラックス方法を見つけることがお勧めです。

帯状疱疹の治療法

帯状疱疹が疑われる場合、合併症や後遺症を未然に防ぐため、迅速に医療機関を訪れることが勧められます。

以下では、帯状疱疹の治療法について説明します。

これには、発疹や痛みが現れている期間の治療と、発症後に可能性のある帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療について、二つの段階に分けて解説します。

帯状疱疹の原因ウイルスに効果を示す抗ウイルス薬は、症状が現れた直後から速やかに治療を開始することが望まれます。

また、帯状疱疹においては、痛みの管理も治療の重要な部分を占めます。早期に皮膚科、内科、ペインクリニック等の専門医を訪れ、治療計画を医師と共に立てることが重要です。

帯状疱疹の治療法は症状に応じて異なります

帯状疱疹治療の主要な方針は、発症の原因となるウイルスの活動を制御する抗ウイルス薬の使用と、痛みの管理に焦点を当てた痛み止めの処方です。帯状疱疹における痛みは、発疹が出始める際の痛みと、発疹後に神経損傷が原因で引き起こされる長期間にわたる痛みの二つに大別され、これらの痛みの種類に応じて適切な痛み止めが選択されます。

帯状疱疹の治療法は、発疹やそれに伴う痛みに対する治療と、帯状疱疹後神経痛に対する治療に分かれます

抗ウイルス薬を用いた帯状疱疹の治療方法

帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬が広く利用されています。これらの薬は、水痘・帯状疱疹ウイルスの活性化し、増殖している時期に、ウイルスのDNAの複製を阻害することで、ウイルスの増加を制御します。

症状が比較的軽度から中等度の場合、口から摂取する内服用の抗ウイルス薬が処方されます。

一方、症状が特に重い場合や、免疫力が低下している場合には、入院治療の下で抗ウイルス薬の点滴治療が施されることもあります。

鎮痛剤による帯状疱疹の痛みの管理

帯状疱疹が引き起こす痛みは、鎮痛剤を使用して管理されることがあります。帯状疱疹に伴う痛みは、しばしば発疹の出現よりも前に感じられ、その際には鎮痛剤が処方されます。

鎮痛剤での治療は痛みの緩和を目的としており、帯状疱疹ウイルス自体の活動を抑えるには、抗ウイルス薬の投与が別途必要です。

特に深夜でも苦しむほどの激しい痛みがある場合、ペインクリニックでの神経ブロック治療が適用されることがあります。これは、痛みを伝達する神経に直接局所麻酔薬を注入し、痛みの信号伝達を一時的に遮断する治療法です。

外用薬(塗り薬)による帯状疱疹の治療

帯状疱疹治療には、外用薬(塗り薬)の使用が見られます。

軽度の帯状疱疹やウイルス活性が既に抑制されている状況では、抗ウイルス成分を含む外用薬(塗り薬 例:軟膏)が適用されます。

さらに、痛みの緩和や患部の炎症を軽減する目的で鎮痛剤や局所麻酔薬、皮疹による皮膚損傷への治療薬、抗菌作用を持つ外用薬(塗り薬)などが処方されることがあります。

帯状疱疹後神経痛(PHN)の対処法

帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹による皮膚の発疹が治癒した後も継続する神経に由来する痛みを指します。この痛みは、帯状疱疹の発疹時に感じる炎症性の痛みとは異なり、治療も神経の痛みに焦点を当てて行われます。

発疹が消えた後に激しい痛みが持続する場合、特に痛みが長期間にわたって続くと、帯状疱疹後神経痛の可能性が高まります。PHNでの痛みは「突き刺すような痛み」や「灼熱感」といった形で表現されることがあり、一般的には3ヶ月以上痛みが続くとPHNと診断されますが、発疹後に痛みが続く場合、治療が必要とされます。

治療には、Ca2+チャネルα2δリガンドに作用する鎮痛補助薬が保険適用で使用されることがあります。この鎮痛補助薬が効果を示さない場合、オピオイド系の鎮痛薬が処方されることもあります。また、うつ病治療薬の使用も一部で保険適用されています。

医薬品による治療のほかにも、神経ブロック注射やレーザー治療などが補助的な治療法として用いられることがあります。

帯状疱疹 あるあるQ&A

Q 以前帯状疱疹を経験したが、50歳以上での予防接種は可能か?

A はい、可能です。 かつて帯状疱疹に罹患した人も、年齢と共に免疫力が低下する可能性があるため、予防接種が推奨されます。

Q ワクチンの種類について詳細を知りたい。

A 帯状疱疹予防ワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンの二種類があります。 不活化ワクチンは、病原性を失った微生物の一部を用いたワクチン(例:肺炎球菌ワクチン)です。 生ワクチンは、病原性を弱めた微生物そのものを用いたワクチン(例:MRワクチン)です。

Q 帯状疱疹は他人に感染するのか?

A 帯状疱疹は、体内の水疱瘡ウイルスが再活性化して発症するため、直接帯状疱疹が他人に感染することはありません。 しかし、水疱瘡を経験していない人へのウイルス伝播のリスクは存在します。そのため、帯状疱疹発症時は水疱瘡未感染の乳幼児や未接種の子供との接触を避けるべきです。不安な場合は専門医に相談してください。

Q 帯状疱疹発症時の治療方法は?

A 主に抗ウイルス薬を用いた治療が行われます。 症状発現後、速やかに治療を開始することで、より効果的な結果が期待できます。痛みや他の症状がある場合は早期に医療機関を訪れてください。

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