風邪は治っても咳が続く、咳が長引いて止まらない、夜間の咳で眠れないなど、そんな経験はありませんか?
単なる咳と考えて放置すると、症状が悪化してしまうことがしばしばあります。
このため、今回は漢方の視点から見た長引く咳の原因、対策、推奨される漢方薬や食べ物、効果的なツボを紹介いたします。
注意が必要!続く咳について
呼吸器系は、細菌やウイルス、気候の変化、ホコリ、花粉など多くの外的要因に敏感な身体の部分です。漢方では、呼吸器系が湿気を好み、乾燥を避ける性質があるとされています。そのため、喉の乾燥や気道の炎症が「空咳」や「気管支炎」、「声がかれる」、「痰が絡む咳」などの症状を引き起こしやすいと言われています。
秋から冬にかけての季節や、冷暖房の利用による空気の乾燥は、鼻や喉、気管支の粘膜の乾燥を招きやすく、特に注意が必要です。また、風邪を引いた際にも咳は頻繁に見られる症状で、風邪の早期だけでなく中期から後期、さらには風邪が治った後にも咳が持続することがあります。
続く咳は、喉や胸の痛みだけでなく、睡眠不足の原因となり、日常生活に支障を及ぼすこともあります。症状が悪化し、気管支炎や肺炎、気管支喘息など深刻な疾患へと進行する恐れもあるため、単なる咳と軽視せず、早期の対応が重要です。咳が2週間以上続く場合は、専門医の診断を受けることを推奨します。
長引く風邪の咳に効く漢方薬の紹介
風邪が治りかけても咳が残り、なかなか治まらない乾いた咳に対しては、「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」が効果的です。
麦門冬湯は、麦門冬、人参、大棗、甘草、粳米、半夏を含む6つの生薬から成る漢方薬で、体内の「水」分と活力の基である「気」を充足させることにより、乾燥した喉の粘膜を保湿し、咳の鎮静や痰の排出を促進し、乾いた咳、気管支炎、気管支喘息、咽喉炎、声のかすれなどの症状を緩和します。
咳が長引く場合にも使用できますが、1か月程度(乾いた咳の場合は1週間程度)使用しても症状が改善しない時は、医師や薬剤師に相談することが推奨されます。
乾いた咳に対して生姜の飴は適切ではないか?
乾燥した粘膜が原因で起こる乾いた咳には、喉の保湿が推奨されます。室内の湿度を適切に保つ、定期的に水分補給をして喉を潤す、飴を舐めて喉の乾燥を防ぐなどが有効です。また、お湯を沸かしてその蒸気を吸い込むことも効果的です。
しかし、喉の乾燥を促す可能性があるものは避けるべきです。例として「生姜」があります。風邪の際に生姜入りのど飴を用いる方も多いかもしれませんが、漢方では生姜には体や粘膜を乾燥させる性質があるとされています。そのため、乾いた咳には不適切であり、ハチミツやかりん、梅など喉を潤わせる成分を含む飴が適しています。
さらに、辛いスパイス類も注意が必要です。胡椒、山椒、唐辛子なども生姜と同様に体を乾燥させる効果があると言われています。乾いた咳が続いている際は、これらの辛い食品の摂取を控えることが望ましいです。良いと思って行った行動が逆効果になる場合もあるため、慎重にケアを行うことが大事です。
咳に効く、積極的に摂りたい食材リスト
咳を和らげる効果があるとされる食材を紹介します。
特に、ハチミツ、アーモンド、松の実、落花生、くわい、ゆり根、いちじく、梅、びわなどは、咳を静めると共に粘膜の保湿にも効果的とされており、乾燥による咳には最適です。
≪咳を抑える食品≫
氷砂糖、ハチミツ、水あめ、湯葉、アーモンド、えごま、オリーブ、南瓜の種、栗、杏仁、松の実、落花生、かぶら、くわい、にんにく、ふきのとう、へちま、ゆり根、杏、いちじく、梅、ざくろ、梨、びわ、マンゴー、くらげ、鯉、海苔、豚の肺、鴨の卵などが、咳を和らげるのに役立つとされています。
咳を和らげるために試すべき、即効性のツボ
咳が悪化した際に効果的なツボを紹介します。余裕がある時にこれらのツボを刺激してみてください。
- 天突(てんとつ)
- 孔最(こうさい)
- 尺沢(しゃくたく)
- 肺兪(はいゆ)
- 中府(ちゅうふ)