アサガオは、日本の夏を象徴する花で、多くの人が小学校の夏休みの宿題で観察日記をつけた記憶があるかもしれません。子供でも簡単に育てられ、たくさんの美しい花を咲かせます。
この記事では、植物の育成に興味がある初心者の方に最適なアサガオに焦点を当てて、その歴史や起源、人気のある種類や品種、基本情報、種蒔きの適切な時期、栽培のコツ、種の採取や保存の方法などを詳しく解説します。こどもと一緒にあさがお
を育てたい方必見です!
朝顔(アサガオ)ってどんな花?基本情報
アサガオはヒルガオ科サツマイモ属に属する一年生植物です。
「一年生植物」とは、種を蒔いた年に花を咲かせ、種を残し、そのサイクルを終える植物のことで、「一年性植物」とも称されます。
枯れた後に再び花を咲かせることはありませんが、落ちた種から新たな生命が生まれます。
アサガオは7月中旬から10月上旬にかけて、青、紫、白、赤、ピンク、複色など多彩な色の花を咲かせます。
つる性の植物であり、ネットなどに這わせると緑のカーテンのようになります。背丈は20cmから最大で10mほどに伸びます。
熱帯から亜熱帯が原産で、日本の夏の気候に合っており、次々に花を咲かせてくれますが、寒さには弱いので注意が必要です。
アサガオの歴史と起源
アサガオは、日本における園芸植物の中で顕著な発展を遂げたものとして知られています。
江戸時代には品種改良が盛んに行われ、「古典園芸植物」としての地位を確立しました。
この植物の原産地には複数の説があり、ネパール近辺、中国、熱帯アジア、中南米などが挙げられていますが、日本へは奈良時代末期から平安時代にかけて、中国経由で薬草として伝わったとされています。
平安時代に「朝顔」という名称が使われ始め、「朝に咲く美しい花」を意味する「朝の容花」と呼ばれていました。
ただし、この時期には朝に咲く花全般を指す言葉として、キキョウやヒルガオ、ムクゲなども含まれていました。
アサガオの種には薬効成分が含まれており、「牽牛子」として薬用に使われていた歴史があります。
その美しさが認められ、観賞用としての栽培も始まり、江戸時代には2度のブームを経験しました。
現在知られている多くの品種は江戸時代に生み出されたもので、今日も「朝顔番付」をはじめとする品評会が日本全国で行われ、多くのファンがいます。
アサガオの品種と種類について
アサガオには、「日本アサガオ」と「西洋アサガオ」という2大カテゴリーがあります。
■日本アサガオ
中国から伝わったアサガオを日本で長年にわたり品種改良してきたものが「日本アサガオ」です。
この一年草はつる性で、7月から8月の早朝に花を咲かせ、午前中にはしぼんでしまいます。
一般に2~3メートル程度のつるを伸ばし、葉には特徴的なくびれと細かい毛があります。
日本アサガオには、「大輪アサガオ」と「変化アサガオ」の2つの主な系統があります。小学校の育成プロジェクトなどで一般的に栽培される「大輪アサガオ」は大きな花を咲かせる一方で、「変化アサガオ」は突然変異により特異な花や葉を持ちます。
これらの系統からさらに多くの派生品種が生まれ、豊富な色と形のバリエーションを持っています。
■西洋アサガオ
西洋アサガオは、明治時代に日本に伝わったアサガオのことを指します。
この種類は日本アサガオに比べて大きく、つるは7メートルから10メートルまで伸びることがあります。光沢のあるハート形の葉が特徴で、一つの節から5~6個の花芽をつけることが多いです。
開花は8月後半から11月にかけてで、日本アサガオとは異なり、夕方まで花が咲くことが特徴です。
もともと多年生植物だった西洋アサガオは、日本アサガオに比べ寒さに弱く、日本の冬を越せないため、日本では一年生植物として扱われています。
代表的な品種には、鮮やかな青色の花を咲かせる「ヘブンリーブルー」や、白色に青や紫が入った「フライングソーサー」があります。
また、種をつけず、冬期に地上部を枯らして根だけで越冬する宿根草タイプの「宿根アサガオ」もこのカテゴリーに含まれます。
アサガオの種蒔き時期について
アサガオは種からも苗からも栽培可能です。
早く花を楽しみたい場合は苗での栽培が良いでしょうが、種から育てる方がコストが低いです。
また、特定の品種を求める場合は種を購入する方が容易です。
アサガオの種の発芽率は高いので、初心者でも安心して挑戦できます。
種を蒔く適切な時期は、地域によって異なりますが、平均気温が発芽に適した20度から25度になり、夜間も安定している5月から6月が理想的です。
これよりも気温が低いと発芽しにくいので、気温が例年より低い場合は種蒔きを遅らせる必要があります。
簡易温室やサンルームがあれば4月から種蒔きが可能です。
ただし、アサガオは短日性の植物で、日が短くならないと花が咲きません。
早く種を蒔いても、開花は7月中旬以降になります。順調に育つと、1~2ヶ月で花を咲かせることができます。
アサガオ(朝顔)の育て方とポイント
アサガオの種を蒔く前に行うべきことは?
アサガオの種を蒔く前に、まず土の準備を行いましょう。
アサガオは中性からアルカリ性の土壌を好みます。美しい花をたくさん楽しむために、アサガオに適した土壌を用意することが重要です。
初心者の方が鉢植えで育てる場合、市販の草花用培養土を使用することをおすすめします。
植物を育てる経験が豊富になると、自分で鉢植え用の土を調合することも考えられます。その際には、良好な水はけを持つ土壌を作るために、赤玉土6:腐葉土2:堆肥と川砂を混ぜた割合で調合し、2週間ほど寝かせた後に使用しましょう。
種から育てる初心者の方には、市販の種まき用土を用意することをお勧めします。
地植えにする場合は、庭土をよく耕し、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ、2週間ほど寝かせると良いでしょう。
緑のカーテンを作るためにネットを利用する場合、地植えが適しています。
アサガオ(朝顔)の芽切り、間引き、鉢植えについて
アサガオの種は非常に硬い皮を持っており、そのままでは適切に水分を吸収できず、また同じ鉢内での発芽や開花時期がバラバラになることがあります。
種から育てる場合、発芽率を向上させたり、開花時期を調整するために、「芽切り」と呼ばれる手順を行うと効果的です。
最初に、前日から種を水に浸けておくことから始めましょう。
そして、種まきの直前に、種の背面にカッターやヤスリなどで傷を付けます。皮の内側の白い部分が見えるまで優しく削ります。ただし、市販の種には芽切りがすでに施されていることがあるので、パッケージに記載された情報を確認しましょう。
アサガオは、5~6号の鉢に1株植え、成長するつるを支えるために行灯支柱に巻きつかせて育てます。
横長のプランターを使用する場合は、15~20cmの間隔で植え、ネットを張ります。
土に1.5cmほどの穴を掘り、芽切りした種を穴に種皮のへその裏を上にして植え、土で覆います。
たっぷりと水を与え、日陰で風通しの良い場所で管理しましょう。
約1週間後に発芽が始まるため、本葉が出始めた段階で間引き作業を行います。
心苦しいかもしれませんが、茎や葉が細く、小さな苗や発芽が遅い苗は間引いて、健康な苗だけを育てることが花を美しく咲かせるために必要です。
アサガオ(朝顔)の水やりのポイント
アサガオの水やりは、基本的に午前中に行いましょう。
特に夏の暑い日には、昼間に水を与えると土壌が熱くなり、高温多湿の環境になり、根にダメージを与える可能性があります。
また、夜間に水を与えると茎が長く伸びることがあると言われています。
そのため、水やりのタイミングとしては朝が最適です。
ただし、季節や環境によっては朝の水やりだけでは不足することがあるため、その場合は夕方、日が傾いて気温が下がり始めた時に追加で水を与えましょう。
鉢植えの場合、土が乾いたら鉢の底から水が流れ出るくらいたっぷりと水を与えてください。
地植えの場合は、最初に植えた後にたっぷりと水を与え、その後は根がしっかりと成長するまで、葉がしおれないように土壌の状態と天候を注意深く観察しながら水やりを調整します。
根が十分に成長したら、雨が降らずに土壌が乾燥しない限り、わざわざ水を与える必要はありません。
土壌が乾燥している場合には、鉢植えと同じように地中まで水が行き渡るようにたっぷりと水やりしましょう。
アサガオ(朝顔)の肥料のポイント
アサガオを育てる際、元肥として用土に遅効性肥料を混ぜておくことが大切です。
その後、開花の時期が近づくにつれて、定期的に肥料を与えてしっかりと成長させることが、美しい花を咲かせる秘訣です。
肥料を与える頻度としては、10日に1回程度や月に2~3回程度が適しています。
市販の草花用の液体肥料を追肥として使用すると良いでしょう。液体肥料は速効性があり、アサガオが栄養を必要とする時に迅速に栄養を供給することができます。
ただし、7月中旬以降、アサガオが花を咲かせ始める時期には肥料は不要です。
また、窒素の含有量が多すぎると花付きが悪くなる可能性があるため、窒素の割合が約「5」程度の肥料を選ぶことがおすすめです。
肥料パッケージには通常、「N-P-K=5-10-5」といった表記がありますが、特に「N」(窒素)の数字に注目しましょう。
肥料には窒素以外にもリン酸(P)とカリウム(K)が含まれていますが、アサガオの花付きにはリン酸が特に効果的です。
草花用の肥料にはリン酸が豊富に含まれ、バランスよく調合されていることが多いです。
アサガオ(朝顔)の病気について注意が必要なポイント
特に気を付けたい病気
朝顔(アサガオ)を育てる際に特に気を付けたい病気には以下のものがあります。
- つる割れ病
- 原因: カビによる病気で、下葉から始まり、葉全体が黄色くなり、元気を失います。
- 症状: 葉が黄変し、根や茎にも影響が及ぶことがあります。
- 対策: 土を交換し、土壌のpHを中性に調整することで予防できます。
- うどんこ病
- 原因: カビによる病気で、葉が白く粉を吹いたようになります。
- 症状: 葉が真っ白になり、光合成が妨げられて枯死します。
- 対策: 風通しの良い場所に置き、水はけの良い土を使用し、鉢皿の水を溜めないようにします。
- ウイルス病
- 原因: ウイルスにより、葉が縮れたり、モザイク模様が現れる病気です。
- 症状: 葉が異常な模様を持つことがあり、アブラムシを介して伝染することもあります。
- 対策: 感染した部分を取り除き、アブラムシを寄せ付けないように注意が必要です。
これらの病気に対する注意と予防策を実践することで、朝顔を健康に育てることができます。
気を付けるべき害虫
朝顔(アサガオ)を育てる際に気を付けるべき害虫は以下の通りです。
- アブラムシ
- 特徴: 新芽や茎に多く寄生し、株を弱らせる害虫。
- 影響: 葉から栄養を吸い、ウイルス病の原因にもなることがある。
- 対策: 発見したら取り除き、必要に応じて薬剤を散布して予防する。
- ハダニ
- 特徴: 葉の裏側や蕾に出没し、葉が掠れたように変色することが多い。
- 発生条件: 温度が高くて乾燥した環境で多く見られる。
- 対策: 風通しの良い場所に置き、葉にこまめに水を与える。殺ダニ剤などの薬剤も有効。
これらの害虫に対する注意と対策を実施することで、朝顔を健康に育てることができます。