社会人として知っておくべき、「喪中はがき」の受け取り方について説明しましょう。
毎年いくつか届くこのはがき、受け取る側にもマナーがあることを知っていますか?
「年賀状は不要」という意味で、受け取ったら何もしなくて良いと思っていませんか?
本当にそれで問題ないのでしょうか?
大切な友人や目上の人に対して失礼のないようにするためにも、大人のマナーを身につけることは重要です。そうすることで、より上質な人間関係を築くことができるでしょう。
「喪中」と「喪中欠礼状」の基本のキ
「喪中」とは?
社会人として、「喪中」について知っておくべきことを解説します。
まず、「喪中」とは何か?わかりますか?
身内や近親者が亡くなった際に、一定期間、喪に服し、慎ましい生活を送ることを指します。この期間は「忌中」とも呼ばれます。
「忌中」と「喪中」の違いは、現代では厳密に区別されることは少ないですが、「忌中」は主に仏教の概念で、49日法要までの期間を指し、この間は外出を控え、静かに過ごすことが望まれます。
一方で、「喪中」は約1年間とされ、外出は特に制限されませんが、お祝い事や華やかな行事を控えることが求められます。お正月の飾りつけや初詣も避けます。
現代では、これらの期間に関する法令はなくなり、厳密な規定はありませんが、「忌引き休暇」など名残は残っています。企業や学校によって忌引き休暇の期間は異なります。
喪中にあたる場合、1年間は年賀状のやり取りを避けるために喪中はがきを出します。また、結婚式や地鎮祭などの慶事を控えることが一般的です(予定されていたイベントなど例外もあります)。
大人として知っておくべきは、上記のような喪中の基本的な知識です。これらを押さえておけば、一般的な社会人として困ることは少ないでしょう。
喪中欠礼状(喪中はがき)を受け取った際の対応
喪中欠礼状(喪中はがき)を受け取った際の対応について、社会人にも理解しやすいように解説します。
喪中欠礼状は、送り手が喪中であることを伝え、年始の挨拶(年賀状)を控える旨を知らせる挨拶状です。
年賀状の準備期間に配慮して、通常は11月下旬から12月上旬にかけて送られることが多いです。
では、喪中欠礼状を受け取った側はどうすべきでしょうか?
受け取った側は、当然ながらその年の年賀状は出さないことになります。しかし、単に年賀状を出さないだけでは、何か物足りないと感じる人もいるでしょう。
相手や故人との関係にもよりますが、喪中欠礼状を受け取った際には、後日「寒中見舞い」や「余寒見舞い」、あるいは「お悔やみの言葉」を添えた挨拶状を送ると、より心遣いが伝わり、丁寧な対応となります。
これらの挨拶は、年が明けてから送るのが一般的です。
「寒中見舞い」「余寒見舞い」「お悔み状」に関する基本情報
社会人として押さえておきたい「寒中見舞い」「余寒見舞い」「お悔み状」に関する基本的な情報を解説します。
「寒中見舞い」「余寒見舞い」の意味
まず、「寒中見舞い」や「余寒見舞い」とは、季節の挨拶状であり、「暑中見舞い」や「残暑見舞い」と同じカテゴリに属します。
これらは必ずしも相手が喪中である場合だけに送るものではありませんが、時期的に年始の挨拶と重なり、喪中はがきとの関連もあるため、通常の季節挨拶とは異なる役割を担うこともあります。
「寒中見舞い」と「余寒見舞い」の違いは、主に送る時期によって区別されます。
- 「寒中見舞い」は、松の内が明ける1月8日から立春の前日、2月3日までに送るのが一般的です。
- 「余寒見舞い」は、2月4日(立春)以降のまだ寒い時期に送ります。
これらの挨拶状は、通常は葉書で送ることが多いです。喪中の相手に送ることもあるため、年賀はがきを使用するのは避けるべきです。
日本郵便の通常はがきや一般的な私製はがきを利用しましょう。
内容が多くなる場合や特別な理由がある場合は封書を使っても良いですが、封書はあまり一般的ではなく、相手に重たく感じられる可能性もあるため、相手との関係性を考慮して適切に選ぶことが重要です。
「寒中見舞い」や「余寒見舞い」で書くべき内容
社会人の方が「寒中見舞い」や「余寒見舞い」で書くべき内容について、理解しやすく解説します。
これらの挨拶状に固定された形式はなく、基本的には自分の言葉で自由に書くことができます。
しかし、次のようなポイントを押さえると、はがきを受け取る相手に良い印象を与えることができます。
- 季節に関する挨拶を加える: 例えば、「寒中お見舞い申し上げます」「余寒お見舞い申し上げます」など、季節感を表す挨拶から始めると良いでしょう。
- 相手の安否を尋ねる: 相手の健康や最近の様子を気遣う言葉を加えると親切です。
- 喪中に対するお悔やみや年賀状の謝罪を入れる: 喪中の相手に送る場合は、お悔やみの言葉や、万が一年賀状を出してしまった場合の謝罪も忘れずに。
- 自分の近況報告: 簡単な自己紹介や最近の出来事を書くと、相手とのつながりを感じさせます。
- 結びの文: 一言で締めくくると、スッキリとした印象を与えます。
相手の立場や関係性に応じて言葉遣いや表現を変えることも大切です。特に喪中の相手には、賀詞や華やかな表現を避けることが必要です。
また、喪中はがきを受け取ってすぐに寒中見舞いとして送ることが好ましいです。余寒見舞いよりも早い時期に送ることで、より心遣いが伝わります。
「寒中見舞い」の参考文例
社会人として、「寒中見舞い」の文例を学んでおきましょう。
特に、相手が喪中の状態を知らずに年賀状を送ってしまった場合は、謝罪とお悔やみの言葉を記載することが重要です。
以下はそのような状況に対応するための「寒中見舞い」の参考文例です。
(参考文例)
寒中お見舞い申し上げます
この度は、ご家族を失われた中で、知らずに年頭の挨拶をお送りしてしまい、深くお詫び申し上げます。
故人様のご冥福を心よりお祈り申し上げますと共に、貴殿およびご家族の皆様のご健康とご平安をお祈りいたします。
この寒い季節、どうかお身体を大切になさってください。
令和○年一月
この文例のように、謝罪とお悔やみの言葉を丁寧に添えることで、相手に敬意を示すことができます。
また、季節の挨拶や相手の健康を気遣う言葉を加えることで、より心温まる内容になります。
※「寒中見舞い・余寒見舞い」の文例は⇒コチラ
「お悔み状」についての基本情報
社会人の方に向けて、「お悔み状」についての基本情報と香典の送り方について解説します。
「お悔み状」とは、相手の服喪(悲しみにくれること)や不幸を知った際に、時期に関係なくお悔やみの気持ちを表すために出す挨拶状です。
たとえば、12月に届いた喪中はがきに対して、松の内が明けるまで待つよりも、早めにお悔やみの返事をすることで、丁寧な印象を与えることができます。
相手との関係や故人がどのような方だったかによって、お悔み状と一緒に香典を送ることも適切です。
香典が重すぎると感じる場合は、お線香を添えるのも良い方法です。ただし、相手が仏教以外の宗教を信仰している場合は、お線香を送るのは避けるべきです。
一方で、喪中はがきは「年頭の挨拶などのやり取りを控えさせていただきます」という意味合いを持っているため、過剰に何かを送ると相手に負担をかけることもあります。
そのため、相手の立場や状況を考慮し、適切な方法でお悔やみの気持ちを伝えることが重要です。
「お悔み状」の参考文例
社会人として知っておきたい「お悔み状」の書き方について解説します。
「お悔み状」は「寒中見舞い」などの季節の挨拶状とは異なり、特定の目的を持った挨拶状です。
喪中はがきを受け取って初めて相手の不幸を知った場合に、お悔やみの言葉や表現、弔問に行けなかったことへの謝罪、相手や遺族への気遣いの言葉などを含めることが重要です。
以下は「お悔み状」の一例です。
故人様のご逝去の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
突然のことで驚き、ご家族様の深い悲しみを察し、私も心を痛めております。
本来ならば直ちにお悔やみの言葉を伝えに伺うべきところ、残念ながら事情により伺うことが叶いませんでしたこと、心からお詫び申し上げます。
故人様のご冥福をお祈りし、ご家族様のご健康とご安心を願っております。
香典や線香を添えて送る際の「お悔み状」の文例
社会人として知っておくべき、香典や線香を添えて送る際の「お悔み状」の文例をご紹介します。
このような状況では、故人や遺族に対する配慮を忘れずに、心温まる言葉を添えることが大切です。
参考文例:
このたびはご母堂様の逝去の訃報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。
心ばかりの香典を同封いたしましたので、故人様のご供養にお役立ていただければ幸いです。
悲しみが深いこととお察ししますが、どうぞお体を大事になさってください。
「お悔み状」を書く際のポイント:
- 忌み言葉や重ね言葉を避ける:「死ぬ」「滅ぶ」などの忌み言葉や、「重ね重ね」「次々」といった重ね言葉は使わないようにしましょう。
- 控えめなデザインの用紙を使用:シンプルな白い便箋や、控えめな花柄など絵柄のない葉書を使用します。便箋を使う場合は、内容が1枚に収まるように心掛けましょう。
- 封筒の選び方:封筒を使用する場合は、一重のものを選びます。二重封筒は使わないようにしましょう。
これらのポイントに注意しながら、「お悔み状」を書くことで、相手への心遣いをきちんと伝えることができます。
特定の状況でのケースの対応の仕方(例)
社会人として、特定のハプ二グ状況の下でどのように振る舞うべきかを理解することは重要です。
例えば、相手に不幸があったことを知りながら、喪中はがきが届かなかった場合の対応について考えてみましょう。
このような場合、喪中はがきが届いていないからといって年賀状を送ることは避けるべきです。
しかし、「寒中見舞い」や「余寒見舞い」のような季節の挨拶は、相手に不快感を与えない範囲で送ることが可能です。
それとは別に、「お悔み状」については注意が必要です。
既に弔問に伺ったり、お悔みの言葉を伝えている場合、改めて「お悔み状」を送ると、相手にとっては重たく感じることもあります。
重要なのは、形式に囚われ過ぎず、相手の立場や心情を思いやる姿勢を持つことです。
自分の気持ちだけではなく、相手や遺族の感情に配慮した対応が、大人のマナーと言えます。
この点を意識してお手紙や挨拶状を書くことで、受け取る人が心地よく感じるような文面になるでしょう。